「このままじゃ、nWoはダメになる!」」
長髪熟女の雨宮がテーブルの上に片足立ちで指差しながらした酒の席での放言を真に受けて、漫画的な鼻水を垂らした袖口のゆるい薄幸少女であるところの事務次官が泣きながら何やらごそごそとサイトの改変を行いはじめた。全身剃毛・七三カツラの俺は、まだダメになる余地がnWoへ残されていることに驚愕し、花粉症で鼻腔が通らぬため口にくわえたちくわぶをシューシュー鳴らして抗議の意を露にしたが、「おまえはすっこんでろ!」の叫びと共に鳩尾と顔面を同時に殴られ、路地裏のゴミ捨て場でひとり意識を取り戻す有様であった。無論、以上は虚実の入り混じったイメージ画像である。
しかしながら、結果として冒頭の指摘は炯眼だったと言わざるを得ない。虚構日記と銘打ちながら、全く日記的ではない内容を記述してきたnWoにとって、作品が更新された順で並ぶことに大きな意味は無いだろうと全裸で青白く痙攣しながらサイト移転した俺の認識は、間違っていたのである。それを証拠にいま時系列で過去ログを読み返せば、初期における一日単位の目覚ましい進化と中期における己の尻尾を追いかけるような螺旋状の混迷とが、当時の現実とそれへ付随する精神状況をまざまざと思い出させ、書き手のモチベーションにとって極めて有益であることが判明した。
だが、いったいどういうわけか最も恩恵を被るはずの読み手からは全くと言っていいほど反応がない。思わず契約しているプロバイダへ、主に俺の精神を安定させるためだけにモンスターの如きクレームの電話を入れかねないほどの黙殺である。見かねた新宿オフ参加者の数名が掲示板やweb拍手へメッセージを書き込む気の遣いようは、小生にとって堕ちた偶像の自覚を否応に促し、惨めさは増すばかりである。また、加速する内輪受け感がnWoの持つ人類史的な意味付けを矮小化しているのではないかと心配するあまりの深酒で夜中に絶叫し、このご時勢に通報寸前まで隣人を脅えさせるほどの情緒不安定ぶりである。
とりあえずネット界隈に影響を持つブロガーの諸君は、nWoのことを積極的に宣伝してよい。ありがたいことに、ちょうど新しいトップ画像が寄贈されたところである。銭を取れる萌え絵だ。愛らしい猫のバナーを併用し、萌え系の画像掲載サイトとして偽装する勢いで宣伝していただきたい。なんとなれば、少女保護特区は正に佳境にあり、ジャズセッション的に更新を行いたい俺としてはオーディエンスからの反応を切実に求めている。更新が成った瞬間、物語の行く末は永久に固定される。何らかの関与が可能なのは、この空白期間のみだと理解されたい。人類滅亡は思春期の類型的な夢想だが、実際に全人類を殺害できる力を持つ者がその実行を願った場合、魂の可塑性を越えた悪が彼ないし彼女の実存を永久に改変するだろう。果たしてそこに救済は存在しえるのか? この、少女保護特区が問う命題に対し、諸君の直接・間接問わぬ関与を期待する。